AI + Design

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AIとデザイン

私たちデザイナーの役割は、利用できるリソースを駆使しながら、私たちの周りの世界を意図的に形作ることです。そして私たちが住むその世界は、データセット、アルゴリズム、事前学習モデルによってますます形作られています。 AIと機械学習があらゆる業界や生活の領域に入ってきているため、これらのシステム開発をエンジニアリングの領域のみに限定する理由もなくなってきています。

デザイナーでありAIの専門家であるNadia Piet氏が述べるように、AIとデザインの交差点で出現する新しいデザインの実践があります。

たとえば、「AIと共に」デザインすること。AIを人間と機械のコラボレーションとクリエイティブなアウトプットを生み出すためのデザインツールと見なし、AIを使ってデザインすることができます。また、「AIのために」デザインすること。人間中心の設計手法をAI開発プロセスに統合するために、AIを問題解決者と見なして、AIのための設計を行うことができます。そして最後に「AIのデザイン」ができます。ここでは、AIをデザインする対象として見て、UX/UIおよびユーザーとAIシステムとの相互作用を形作る方法を探ります。

神経工学者でありAI Responsibility LabのCEOであるRamsay Brown氏によると、AIとデザインの交差点が急速に拡大しているため、デザイナーは新しい役割に備える必要があります。その一例が、プロンプト(指示)を作成してAIに指示を与えることを専門とするプロンプトデザイナーです。

AIとデザインの出会いによって、次のような一連の疑問が生じます。なぜ、いつ、どのようにAIシステムを構築する必要があるのでしょうか? デザイナーはAI/MLについて何を学ぶ必要があるでしょうか? 人間中心のAIをどのように設計すればいいでしょうか? AIの時代において、デザインとは実際には何を意味するのでしょうか? ユーザーは、私たちが構築したAIシステムとどのようにやり取りをするのでしょうか? 既存のデータセットとオープンソースモデルからAIで作成されたアートは、誰の功績になるのでしょうか? 私たちはコンピュータを使用してベストプラクティスをコピーしていくべきでしょうか、はたまた敢えてランダム性を組み込む必要があるでしょうか? この若くて急速に成長している分野は、デザイナーが関与して影響を与えるエキサイティングな機会だと思いませんか?

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AI + Design

Planet-centric design

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惑星中心設計

先を見通して考え、環境を形成する能力こそ、私たちを人間たらしめるものです。私たちは何世紀にもわたって環境の限界点を押し広げてきましたが、それに対するコストをあまり認識できていません。

過去10年間、私たちは人間中心のデザインを確立してきました。多くの設計手法は、特に人間を対象としています。たとえば、ペルソナ、ユーザージャーニー、ステークホルダーマップなどを考えてみてください。私たちは、利便性、効率性、気晴らし、さらには中毒性のためにすべてを最適化することに長けています。また、成功が無限の成長によって定義されるシステムである資本主義の欠点も見ています。私たちは有限のリソースに依存しているため、これは実現不可能です。

デザイナーは今こそ望ましさ(desirability)の概念を再考し、私たちが望む未来を再定義する頃合いなのです。 惑星中心のデザインでは、個々の人間のニーズを惑星のニーズと同じレベルに捉えます。人間を否定するわけではなく、声なき声に耳を傾けることを指しています。耐久性や強さ、信頼や人間関係など、測定するのが難しいながらとても重要な側面に焦点を当てます。このようなアプローチは、新しいデザインの判断軸を提案し、脱成長を通じて成長を促進し、科学とデザインを統合し、住居問題、機構問題、戦争、資源の不足など、あらゆる世界中の危機に対処するための新しい方法を見つけるのに役立ちます。

楽しくて愛らしい体験をデザインするだけではなく、私たちの仕事が社会や環境に与える全体的な影響を考慮することが重要です。私たちは日々ニュースを無視してデザインの実践を続けるかもしれませんが、デザイナーとしての影響力と責任を認識すれば、デザインの惑星中心性を確保する必要性が急務であることをすぐに理解するでしょう。デザインのアウトプットは、責任があり、体系的で、透明でなければなりません。私たちのデザインが誰に影響を与えるかを意識させることは、私たちのデザイン実践の重要な側面になるはずです。

Design Matters Tokyoではこのトピックを探求し、次のような質問に答えたいと思います。結果を予測し、インクルーシブさを確保するために、開発プロセスのすべてのステップに責任を組み込むにはどうすればよいでしょうか? 惑星中心のアプローチをデザインの実践に取り入れるにはどうすればよいでしょうか? 人間以外のユーザーの声をどのように聴かせることができるでしょうか? 惑星中心の観点から成功をどのように定義するでしょうか?

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Planet-centric design

Designing for well-being

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ウェルビーイングのデザイン

人々が健やかに生活をし、相互に交わることを助けるために、デザイナーの役割があると考えられています。しかし、デザイナーの仕事が本当に違いを生むことができる分野は他にもたくさんあります。空間が適切にデザインされている場合(移動しやすい空港を想像してみてください)、幸せではないにしても、快適でリラックスした気分になります。アプリが適切にデザインされていれば、時間を節約し、無用なフラストレーションを回避し、楽しむことさえできます。たとえ些細なデザインでも、シームレスで障害のない体験が、私たちの日常生活、そして最終的には私たちのウェルビーイングに影響を与えるのです。

ウェルビーイングは、精神的、身体的、社会的、経済的、精神的、職業的、環境的な 7 つの次元で現れます。したがって、デザインの新興分野が、優れたデザインとポジティブな健康とウェルビーイングの結果との直接的な関係に注目していることは驚くべきことではありません。たとえば、バイオフィリックデザインは、外の世界を取り入れ、人々を自然環境と結びつけるという考えを取り入れています。自然と触れ合うことで気分が改善され、不安が軽減され、認知機能が研ぎ澄まされ、幸福感と創造性が高まることを示す研究がいくつかあります。入院患者では、回復時間の短縮として記録されています。また、日本の森林浴がどのようにポジティブな生理的効果を持っているかも示されています。

ウェルビーイングを促進する環境をデザインするには、空間の物理的特性だけでなく、その無形の側面にも注目します。たとえば、そのコアバリュー、オープン性と敬意の考え方、ワークライフバランス、経済的安定、協力的な文化(職場環境について考える場合)、公平性と正義(社会システムについて考える場合)などです。

Design Matters Tokyoでは、次のような一連の質問を検討します。デザイナーは、すべての人を歓迎し、インクルーシブな環境を形成するのにどのように役立つでしょうか? マインドフルネスと依存症をどのようにデザインできるか? デザインは多様性と平等を促進するのにどのように役立つでしょうか? 声なき声に声を与えるために、デザインをどのように活用できるでしょうか?

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Designing for well-being

The Themes

Design Mattersは毎年、デザイン業界における3つのトピックを深く掘り下げています。トークやワークショップの指針となるテーマは、国際的なデザイナーの委員会での議論を元に決めています。